スマホ・カメラマン

寒い寒い冬の訪れ、秋にキレイな紅葉を見ると、寒くなりそうだと思います。今年は11月半ば頃から都内で見られた紅葉が見事でした。近所の道端のイチョウの木の下に立ち止まって、スマホカメラで見上げる人をよく見かけました。手に持ったカメラを向ける方向が、自撮りの場合、インカメラ(内側)に設定して、撮る景色を背景に自分自身の顔を入れて撮影します。かつては「プリクラ」と呼ばれる撮影ブースに出掛けて、仲間同士で交流の証しを残したものでしたが、すっかりスマホ自撮りが定着しているのではないかと思います。

紅葉が綺麗な遊歩道や公園で、動画録画中、リアル番組をやっているのかもという人達も見かけます。自撮り棒は禁止という場所でも、傍らにスマホ・スタンドに端末を固定して、なにやら番組中かも、近くを通りかかったところでそのスマホ中継に出演してしまっているかもしれません。

ふと立ち寄ったスポットで、「すみません、写真撮ってください」と声を掛けられ、手持ちのスマホを手渡されました。自撮りにすると、全員が入りきらない人数のようで、誰か人が通らないか気配を伺っていた様子でした。
デジカメの以前、紙製の使い捨てカメラ「写ルンです」や「撮りっきりコニカ」の頃に、写真撮って下さい、とよく声を掛けられたものでしたが、最近は見知らぬ人にスマホを預けたりあまりやらないので、ちょっと緊張、スマホを構えてシャッターボタンを押す、もう1枚、スマホ画面を横長にして2枚めを撮りました。
遠景で紅葉した木を背景に全員を入れましたが、あとでスマホ画面上で写真をトリミング、人物が目立つように囲んで背景部分を省くと、人物が大きくなり顔の表情まで目立つ画像に編集できると思います。

展示物の「撮影OK」、美術館や博物館で撮影自由というスポットが目立って増えてきたように感じます。
お気に入りの前に立ってしばらく愛おしそうになかなか立ち去らない、しばらく眺めているとスマホカメラを構えて、展示の作品を撮影して館内にシャッター音が響く、そういう光景にまだ慣れていないと、美術展でカメラのシャッター音など常識外のような気分がして、ソワソワするかもしれません。

「消音カメラ」というアプリがあるのですが、通常はシャッター音が鳴りませんが、薄暗い室内でフラッシュが点くとシャッター音が鳴ってしまいます。しかし、館内で撮影OKというなら、むしろシャッター音を響かせた方が効果的なのかもしれません。

フラッシュ禁止
自撮り棒禁止
動画禁止
商用禁止

いろいろ注意書きがありますが、撮影OKですから、シャッター音は禁止ではありません。

施設や展示物によりますが、ほとんどの作品が「撮影OK」ならノーマークですが、「撮影NG」の作品にはカメラのアイコンに斜線でNGの表示があります。館内コレクションのうち、特定の著作者だけ撮影許可しないのかもしれません。また著作者の所在が不明の場合など許可がとれず、やむを得ずというケースもあるかもしれません。某日某所では、撮影OKの作品にのみ「カメラアイコン」があり、ノーマークは撮影NGという、紛らわしい作品展がありました。カメラアイコンが表示されている数点のみ撮影可という、ちょっと不気味な展示室でした。

普通は、カメラに斜線のアイコンを見たら「撮影NG」です。

館内が混雑していたり、お気に入りの作品に浸りこんでいつまでも佇んでいる気配の時に、順路をスキップしたり、自由観覧できるフロア内で反対周りに歩いたりしていると、撮影禁止マークが順路の手前側の壁に見えてきて、あっ「撮影NG」に気が付かなかった、シャッターを押したあとで気付いたり、あとで撮った写真を見てNGアイコンに遅れて気付いたりすることなどあります。撮影NGの対象にシャッターを押してしまったら、後で消しておくのがマナーだと思いますが、撮影禁止マークの画像が保存されたクラウド上から自動的に消滅していることもあります。

美術館・博物館の人気イベント会場では、展示物に向けるスマホカメラが集中して、アイドル撮影会のごとく、あちらこちらでシャッター音が心地よく響いてきます。行列の前に並ぶ人が片手に持っているスマホカメラ画面が見えます。次の展示物の前に着く前に、スマホ画面を通して中継を見ていたりします。ズーム機能で画面いっぱいに見える構図がとても上手、と思ったりします。また、背後からスマホカメラを持つ手が割り込んだかもと思ったら、足早に次に向かう人などもいます。高性能なスマホカメラは、広角レンズ、望遠ズームや接写用にマクロレンズ機能などオールインワン、別売りオプション品の取り付けカメラレンズセットなどを求めなくても、スマホ1台で一眼レフカメラ並みなのだそうですが、スマホで撮影していてクラウドに作品集アルバムが出来ていても、それとはまた別に、売店で公式の画集や写真集を購入する人もいるだろうと思います。

そういえば以前に、路上イベント等でちょっと著名なアイドル・タレントさん達がにわか出前ステージに登場しているのに遭遇したとき、話のネタにと思って、スマホ・カメラを向けると、背後から警備のお兄さんお姉さんが近寄って来て「撮影禁止です」と直接声を掛けられ無断撮影などを止められた事がありました。館内撮影OKを数々経験して来ると、無料で路上で一般公開で「撮影禁止」というお堅いイベントなどつまらなく感じるようになってきます。休日は来場者で混雑して入場前から行列ができたりしますが、館内でスマホカメラ撮影するもしないも、見て歩く早さは変わらないのではないかと思います。カメラのせいで混雑しているわけではなく、やはり作品を目の当たりにして感動して歩みが止まるのだと思います。スマホ撮影する人は、またあとで作品を振り返ることができるので、むしろ立ち去れるかもしれません。

調子に乗って、スマホカメラで撮影しながら歩いていると、知らず知らずのうちに写真の容量がどんどん増えています。以前に撮った写真をスマホの画面上で探して、開いて、振り返りたくなる事がありますが、その反面で空き容量不足が気になってくるのではないかと思います…